(第35回)理事長 神野吾郎 メッセージ


一般社団法人 中部経済連合会 副会長

◇開会にあたって

産学連携を加速させる
ネットワークづくりが重要。

 

 当財団は中部経済連合会を母体にしており、私はその副会長を務め、人材育成委員会の委員長として大学等の教育機関と産業界をつなげる環境づくりについて議論し、提案を行っており、そういった流れの中でこの財団の理事長も務めております。
 時代は大変激しい形でいろいろ変化をしています。 コロナでは教育機関においても大変苦労されたと思いますが、これによって教育の現場でのやり方が進化をしていると、ポジティブな受け止めが必要と思います。
 そういった中で、特に情報技術の進化があらゆるもののベースになって開発がされています。また2050年のカーボンニュートラル実現への取り組み等 、テクノロジーの世界が進化のけん引役になっていくと思います。
 ただ残念ながら科学技術における日本の地位はこの30年で非常に低下しています。一例を申しますと、2022年は科学技術論文の引用数が過去最低になりました。研究人材が量と質の両面で大変課題を抱えていると思います。
 博士号への評価もベースとなる課題の一つですが、アメリカ、中国、韓国では年間取得者数が2000年に対して2倍に増えている一方で、日本は減少傾向に歯止めがかっておりません。
 イノベーションが大事、社会実装が大事だと言われているなかで、この切実な状況に対する一つの答えが産学連携です。日本人は目の前のことをきっちりこなすことは得意ですが、コーディネートしたり連携するのが得意ではないと思います。
 本財団は1987年に設立され東海地区の様々な大学・企業との連携を通して産業の発展に貢献してまいりましたが、先にお話しした環境変化の中においても、産学連携の様々なきっかけづくりを行い、特に新進気鋭の若い研究者の皆様の支援ができればと思っております。
 ここ東海地区は輸送自動車産業をはじめとして様々な先端的な産業集積があります。また農業、水産業畜産業といった一次産業についても全国でもトップクラスの出荷額を誇ります。そういった一大生産地域と教育機関でもっと一体に連携できるような 関係性を作っていきたいと思います。
 そのためには、本財団も皆様から様々な声をいただきながら、運営を変えていく必要があります。特にこれからはネットワーク力で勝負できる組織になる必要があると思います。そういった思いから今日の伝達式も、交流を重視したスタイルに変えました。
 横断的にいろいろなプレゼンを聞く機会は少ないと思いますので、インスピレーションを得ていただき、我々としてもそれを情報として次につなげていくというような機会になれば大変うれしく思います。 今回採択の皆様が、イノベーション創造の中心的な存在になっていただくことを心から祈念して挨拶とさせていただきます。